とっておきのワンシーン
作品紹介

─ “思いやりの原点”って何だと思われますか? ───

思いやりの原点は共感。
相手に関心を持ち
相手の話や状況に共感することができれば、
相手の話や状況が自分のことのように感じられ、考えられ・・・、
自分が言って欲しいことや、自分もして欲しいことを、
言ったり、して差し上げたりできるんですね。

これからご覧頂くワンシーンに、皆さんは共感されるでしょうか・・・。
この作品紹介コーナーでは、最新の公募作品を紹介させて頂きます。

─ 第59回とっておきのワンシーン入賞作品の紹介 ───


家族との時間

「家族との時間」

新潟県 K・W(学生 10代)

 高校三年の夏、私の祖父が天国へ旅立ちました。祖父は、私が小さい頃から学校の送迎や一緒に遊んでくれた優しい人でした。
 祖父が入院していた頃、私は学業と部活で中々お見舞いに行けませんでした。やっと病院にリモートで病室にいる祖父とお話ができる日ができ、病院に向かいリモート用の部屋で久しぶりに祖父の顔を見ました。私が居ることに気づいた祖父は、私に会えて嬉しかったのか涙をぽろぽろと流していました。私はその姿を見てもらい泣きをしました。もっと祖父に顔を見せに会いに行けば良かったなと今でも思います。
 葬式の後日、祖母から亡くなる一週間前の祖父の様子について教えてもらいました。祖父は看護婦さん達のことを私だと思い込み、私の名前で呼んでいたようです。そして、祖父が亡くなる直前、母が祖父に「娘たちのことちゃんと守るね」と語りかけると、祖父は静かに涙を流して息を引き取りました。そんな祖父のことを知った瞬間、「私は祖父に愛されているんだな」とより感じて泣いてしまいました。
 家族と過ごす時間は他の誰よりも長いものだけど、永遠と続くものではないのだと私は家族の大切さをこれまで以上に感じました。
こらからも家族との時間を大事にしながら人生を送りたいです。