とっておきのワンシーン
作品紹介

─ “思いやりの原点”って何だと思われますか? ───

思いやりの原点は共感。
相手に関心を持ち
相手の話や状況に共感することができれば、
相手の話や状況が自分のことのように感じられ、考えられ・・・、
自分が言って欲しいことや、自分もして欲しいことを、
言ったり、して差し上げたりできるんですね。

これからご覧頂くワンシーンに、皆さんは共感されるでしょうか・・・。
この作品紹介コーナーでは、最新の公募作品を紹介させて頂きます。
皆さんもブックマークを付け、時々お立ち寄り下さい。

─ 第59回とっておきのワンシーン入賞作品の紹介 ───


当たり前をすること

「当たり前をすること」

新潟県 M・K(学生 10代)

 友人数人と遊びに出かけた時の事です。私達はショッピングモールに向うため、バスに乗っていました。友人達と話ながらバスに揺られていると、私の隣に座っていたMちゃんが私に小さい声で話しかけてきました。
「席、譲ったほうがいいかな」
Mちゃんが向いている方向に目をやると、おそらく先程乗車したであろうおばあさんがポールに掴まって立っていました。私は友人との会話に夢中で気がついていませんでした。私が返事をする前にMちゃんは立ち上がり、
「座ってください」
と席を指して笑顔で言いました。おばあさんは嬉しそうに、
「ありがとう」
と言って席に座りました。
 目的地について私達がバスを降りようとしたとき、おばあさんはもう一度お礼を言いました。Mちゃんはすでに出口付近に居ておばあさんの声に気がついていなかったので私が代弁して伝えると、
「ほんと?よかったぁ」
と笑っていました。
 Mちゃんの行動は、観察力と思いやりと勇気が無ければできない行動でした。多くの人が躊躇してしまうことを当たり前にやってみせるMちゃんを心の底から尊敬しました。