
─ “思いやりの原点”って何だと思われますか? ───
思いやりの原点は共感。
相手に関心を持ち
相手の話や状況に共感することができれば、
相手の話や状況が自分のことのように感じられ、考えられ・・・、
自分が言って欲しいことや、自分もして欲しいことを、
言ったり、して差し上げたりできるんですね。
これからご覧頂くワンシーンに、皆さんは共感されるでしょうか・・・。
この作品紹介コーナーでは、最新の公募作品を紹介させて頂きます。
─ 第64回とっておきのワンシーン入賞作品の紹介 ───
「ご褒美アラモード」
祖母がよく言っていた。ご褒美をあげなきゃね、朱莉ちゃんにも、私にも、と。
ご褒美とは、プリンアラモードの事だ。自家製焦がしキャラメルの固めプリンと甘いバニラアイス、水切りヨーグルトを使用したさっぱり風味の生クリームとジューシーな果物の果肉が良く合う。祖母はこのアラモードが大好きだった。喫茶店、いつもの様に座ると祖母は「朱莉ちゃんは何がいい?」と尋ねてくる。私は祖母がいつもアラモードを頼む事を知っているのでその度に不思議に思っていた。
飽きないのだろうか、祖母は余程このアラモードが好きなのだろう。その日も毎日の水仕事であかぎれだらけの手をあげ祖母はすみません、と店主を呼んだ。
アラモードを食べに行くのは決まって、私が泣きそうな日だった。勉強、習い事、人間関係、中学に上がればそこに部活動が追加され毎日毎日必死だった。全てが上手くいってスキップしてしまう位幸せな日もあれば、全てが上手くいかずドン底に突き落とされる日もある。そんな日は、決まって祖母が喫茶店に連れて行ってくれた。
「毎日頑張ってる朱莉ちゃんにはご褒美をあげなきゃね。そして、私にも。2人とも良く頑張った!美味しいものを食べて、今日はあったかくして寝ようね。」
その言葉、笑顔、私の手をそっと握る手、それはとってもとっても大好きな時間だった。
私は今でも祖母とその喫茶店に行く。ここのデザートが大好きで最近は全てのメニューを制覇しようとしている。祖母は相変わらずアラモードを。この時間、この瞬間いつの時代も私のとっておきのワンシーンだ。