─ “思いやりの原点”って何だと思われますか? ───
思いやりの原点は共感。
相手に関心を持ち
相手の話や状況に共感することができれば、
相手の話や状況が自分のことのように感じられ、考えられ・・・、
自分が言って欲しいことや、自分もして欲しいことを、
言ったり、して差し上げたりできるんですね。
これからご覧頂くワンシーンに、皆さんは共感されるでしょうか・・・。
この作品紹介コーナーでは、最新の公募作品を紹介させて頂きます。
─ 第63回とっておきのワンシーン入賞作品の紹介 ───
「真っ白な1ページ」
今から数年前、私は産後うつをこじらせて入院することになった。
当時上の子は四歳、下の子はまだ二歳だった。息子たちは一時的に、児童養護施設に保護されることとなった。
入院中は子供たちのことが頭から離れず、毎日がとても長く感じられた。
辛い日々、心を慰めてくれたのは絵本だった。絵本を読んでいると、空想の世界へ飛び立つことができる。入院する前の、寝る前の絵本の読み聞かせは、楽しいひと時だった。長男の好きな、きつねのぬいぐるみの絵本。次男の好きな、白猫の絵本。
今は、自分の心を癒すために、たくさん読んだ。
やがて少しずつ症状が良くなり、できることも増えていった。
面会が許され、子供二人に会うたびに、新しい絵本を一緒に読んだ。子供たちは大喜びし、別れる時には大泣きしていた。私も帰りの車の中で泣いていた。
絵本が、離れている間も心と心をむすびつけてくれていた。
月日が経ち、私は退院し、息子二人は無事に家に戻ってくることができた。
我が家で子供たちと一緒に読む絵本は、とてもあたたかかった。
寝る前のしあわせなひと時がもどってきたことが、本当に嬉しかった
これから新たに、まだ何も描かれていない真っ白な1ページを、子供たちと一緒に開き、描いていこうと思う。