
─ “思いやりの原点”って何だと思われますか? ───
思いやりの原点は共感。
相手に関心を持ち
相手の話や状況に共感することができれば、
相手の話や状況が自分のことのように感じられ、考えられ・・・、
自分が言って欲しいことや、自分もして欲しいことを、
言ったり、して差し上げたりできるんですね。
これからご覧頂くワンシーンに、皆さんは共感されるでしょうか・・・。
この作品紹介コーナーでは、最新の公募作品を紹介させて頂きます。
─ 第65回とっておきのワンシーン入賞作品の紹介 ───
「祖母とウォーキング」
私は高校三年生の時に統合失調症で入院した。二ヶ月程で退院したものの、気力も体力も回復とは程遠い。
高校卒業が迫り、同級生達は夢への一歩を踏み出そうとしている中、自分は何もできないという焦りに苦しんでいた。統合失調症の陰性症状で、勉強等に気力や集中力が続かない。また、将来、何が出来るか分からず、悲観していた。
そんな私を隣に住む祖母は毎日のようにウォーキングに誘った。3キロ程の道のりをやや速足で歩く。その時に、祖母がよく伝えてくれたことがある。
「体力さえあれば、何とかなるのよ。今出来ることをしましょう。」
初め私は、腑に落ちなかった。良い学歴が良い未来に繋がるとばかり思っていたのに、体力さえあれば何とかなるなんて…。今出来る事は歩くだけ?でも、祖母の言葉を信じ、ウォーキングはそれからずっと続けた。
高校卒業後しばらくして、私は何か資格を取って働きたいと思うようになり、介護福祉士を目指した。
まずは初任者研修の資格を取り、働きながら、国家資格である介護福祉士の取得の為、勉強した。この時に、ウォーキングでついた体力と毎日コツコツ続ける力が私を助けてくれた。仕事は楽ではなかったが、働きながら勉強も続け、三年後、無事、介護福祉士の資格を取得した。
ようやく祖母の言葉が腑に落ちた。あの時から地道に続けたウォーキング、それが体力気力共に、今役に立った。
統合失調症は、ずっと付き合っていかなくてはならない病気で、波もある。しかし、勉強がままならないなら歩いて体力をつけたように、その時々で、自分の今できることをすればいいのだと、祖母の言葉と、ウォーキングの積み重ねに、気付かされた。これからの人生でも、良い時も悪い時もあるだろう。でもその時々で、今出来る事を積み重ねて生きていこうと思う。