とっておきのワンシーン
作品紹介

─ “思いやりの原点”って何だと思われますか? ───

思いやりの原点は共感。
相手に関心を持ち
相手の話や状況に共感することができれば、
相手の話や状況が自分のことのように感じられ、考えられ・・・、
自分が言って欲しいことや、自分もして欲しいことを、
言ったり、して差し上げたりできるんですね。

これからご覧頂くワンシーンに、皆さんは共感されるでしょうか・・・。
この作品紹介コーナーでは、最新の公募作品を紹介させて頂きます。

─ 第62回とっておきのワンシーン入賞作品の紹介 ───


ありがとうの輪

「ありがとうの輪」

新潟県 M・S(学生 10代)

「ありがとう」と人の目を見て言うようになったのはいつからだっただろうか。
 高校二年生の春、コンビニでアルバイトを始めた。初めてのアルバイトで最初の一週間は失敗することもあった。だが先輩に恵まれ少しづつ慣れる事ができた。
作業に余裕ができるとある一つのことに気がついた。レジ対応をした後に妙に良い気持ちになることがあるのだ。どうしてかと考えて気がついた。コンビニには様々な人が来る。お年寄りから子供まで。何の共通点もない人たちのただ一つの共通点は「ありがとう」の言葉だった。
 そう気がついた時、自分はどうだろうかと考えた。今まで、人見知りで恥ずかしかったりどう思われるか気になったりと、なかなか声を出すことができなかった。
だが、たった一言でこんなにもうれしい気持ちになると知ってそんな気持ちはなくなった。むしろ感謝の気持ちを伝えたいと思うようになった。
それから必ず「ありがとう」と伝える。些細なことかもしれない。もしかしたら相手は何も思っていないかもしれない。
でも私みたいにうれしい気持ちになってくれるかもしれない。そう思うとなんだか良い気持ちになる。
 誰かの「ありがとう」で嬉しくなり、また誰かに「ありがとう」と伝える。小さな幸せの輪が少しずつ広がっていく。だから私は今日も「ありがとう」と伝える。