─ “思いやりの原点”って何だと思われますか? ───
思いやりの原点は共感。
相手に関心を持ち
相手の話や状況に共感することができれば、
相手の話や状況が自分のことのように感じられ、考えられ・・・、
自分が言って欲しいことや、自分もして欲しいことを、
言ったり、して差し上げたりできるんですね。
これからご覧頂くワンシーンに、皆さんは共感されるでしょうか・・・。
この作品紹介コーナーでは、最新の公募作品を紹介させて頂きます。
─ 第62回とっておきのワンシーン入賞作品の紹介 ───
「周りを見る大切さ」
専門学生になってからのある日のことです。
専門学生になってから、電車通学の時間が伸びて、毎日電車の中は人でいっぱいでした。学校への通学も慣れて楽しく授業を受けていました。
とある日の朝、私はいつも通りに人の多い通勤時の電車に乗っていました。電車は終点の駅に着き、改札口に向かうところで後ろから私の肩を軽く「トントン」とされて振り返ってみました。するとそこには若い社会人の女性が一人立っていました。どうしたのだろうと思っていたらその女性は手を差し出して「これ落としましたよ」と言って私の肩掛けトートバックについていたキーホルダーを渡してくれました。その時私はキーホルダーを落としたことと、後ろから声をかけられたことに驚いて少し固まってしまい小さな声でしかお礼を言えませんでした。
電車を降りて改札口に向かう道は人がとても多くて落としてしまったら見つけるのも難しいし、広い駅では探すのも難しい、落としたら戻ってこない可能性もあります。それでもその若い女性は私が落としたのを見て、私を追いかけ、声をかけて教えてくれました。私が落としたキーホルダーは、一人暮らしを始め、なかなか会えない友達とお揃いのものです。ですので拾ってくれた若い女性に感謝しかありません。
この出来事があってから、私も他人に気を配れる余裕のある人を目指しています。私自身の心に余裕があって周りに気を配れれば困っている人も私が少しでも力になれるかもしれないと思うからです。私と同じよう、その人が落としたものはその人にとってとても大切なものかもしれないから。