とっておきのワンシーン
作品紹介

─ “思いやりの原点”って何だと思われますか? ───

思いやりの原点は共感。
相手に関心を持ち
相手の話や状況に共感することができれば、
相手の話や状況が自分のことのように感じられ、考えられ・・・、
自分が言って欲しいことや、自分もして欲しいことを、
言ったり、して差し上げたりできるんですね。

これからご覧頂くワンシーンに、皆さんは共感されるでしょうか・・・。
この作品紹介コーナーでは、最新の公募作品を紹介させて頂きます。

─ 第58回とっておきのワンシーン入賞作品の紹介 ───


差しのべる勇気

「差しのべる勇気」

福岡県 K・N(団体職員 30代)

 子ども達が冬休みとなり、久しぶりに近所の大きな公園では、流石年末とばかりに色々なイベントが催されていた。家族連れで、遊びに来ている人も多く、公園は文字通り賑わっていたのだが、ふと目をやると三歳くらいだろうか幼い女の子が泣いてしゃがみこんでいた。どうしたんだろうか。迷子だろうか。と思う暇もなく、
「ねぇ、大丈夫。ママは一緒じゃないの。さがしてあげようか」
真っ先に、声を掛けたのはさっきまで隣にいた娘だった。たくさんの知らない人が行きかう中で、不安でいっぱいだったろうその子は泣くのをやめて、娘と手をつないで歩き出した。ほどなくして、その子の母親は見つかり
「ママ〜」
と芝生の広場を元気に駆けだして行った。娘にどうして声を掛けたのかと尋ねると、
「困っていたからに、決まってるじゃん」
と何ともシンプルな答えが返ってきた。
 あの迷子の子のように、よく泣いていたのが、ついこの間のような気がしていた私は、娘の成長の嬉しさと、こうやって手を離れていくのだなという一抹の寂しさを感じた出来事だった。
 大人になるにつれて、周囲の目が気になったり、頭で先に考えてしまったりすることが多くなってしまっているような気がする。それが一概に悪いことではないだろうけれど、さっと、誰かに手を差し伸べる「勇気」はいつまでも持つべきだろうことを娘から教えてもらった。