とっておきのワンシーン
作品紹介

─ “思いやりの原点”って何だと思われますか? ───

思いやりの原点は共感。
相手に関心を持ち
相手の話や状況に共感することができれば、
相手の話や状況が自分のことのように感じられ、考えられ・・・、
自分が言って欲しいことや、自分もして欲しいことを、
言ったり、して差し上げたりできるんですね。

これからご覧頂くワンシーンに、皆さんは共感されるでしょうか・・・。
この作品紹介コーナーでは、最新の公募作品を紹介させて頂きます。

─ 第58回とっておきのワンシーン入賞作品の紹介 ───


素敵な笑顔と素敵な心

「素敵な笑顔と素敵な心」

愛知県 K・H(学生 10代)

 私はまだ十八歳なので、電車やバスなどで席を譲ってもらったという経験をしたことがありません。
私達は小さい頃から、「お年寄りや体の不自由な人には席を譲りましょう」と教えられています。なので、まだ十八歳で不自由なところもない私が席を譲ってもらったことがないのは当たり前のことだと思います。私が電車に乗る時間帯は、ほとんど満員で、席に座れることが滅多にないので、自分が席を譲ったという経験もあまりありません。
 ある日、私は友達と遊びに行きました。その日はブーツを履いていて、たくさん歩いたので、帰るときには足が棒のようになっていました。電車に乗った瞬間、「あ、座れる!」と思いました。ですが、もう一つ隣のドアから入ってきた人達がたくさんいたので、一瞬で席は埋まってしまいました。少しの時間くらい立って我慢しようと思いましたが、足はだいぶ辛かったです。
 そのとき、席に座れなかった私を見ていた人が、「ここ、座りな」と席を指さして譲ってくれました。その人は二人分の席があいているところに座っていて、その人の向かい側の席は一つだけあいていました。それに気づいて、私と友達の二人分の席をあけて、向かい側の席に移動してくれたのです。私は、こんなに優しい人がいるんだと感心しました。そしてその人の笑顔に安心して、ほっこりした気持ちになりました。私は常にそこまで周りを見て行動できているのだろうかと考えるきっかけにもなりました。
 きっと夕方の電車に乗っている人は疲れている人が大半だと思います。その中で、周りに目を配っているその人が本当にすごいと思ったし、私もそういう人になりたいと強く思いました。この出来事があってから、電車やバスに乗るときはよく周りを見るようになりました。自分だけでなく、周りの人の気持ちがよくなるように、行動しようと思いました。