とっておきのワンシーン
作品紹介

─ “思いやりの原点”って何だと思われますか? ───

思いやりの原点は共感。
相手に関心を持ち
相手の話や状況に共感することができれば、
相手の話や状況が自分のことのように感じられ、考えられ・・・、
自分が言って欲しいことや、自分もして欲しいことを、
言ったり、して差し上げたりできるんですね。

これからご覧頂くワンシーンに、皆さんは共感されるでしょうか・・・。
この作品紹介コーナーでは、最新の公募作品を紹介させて頂きます。

─ 第53回とっておきのワンシーン入賞作品の紹介 ───


しあわせな下校道

「しあわせな下校道」

新潟県 M・N(学生 10代)

 中学二年、卓球部の私は、毎日はらぺこになりながら下校する。試合の結果は散々で、うつむきながら徒歩十分、夕焼けのオレンジ色に染まった住宅地へ私は潜り込んでいく。
 すると、私のはらぺこさに拍車をかける匂いが辺りに立ち込めた。夕飯の匂いだろう、あちこちから様々な料理の匂いがする。
この匂いは肉じゃがだろうか、ホクホクとする匂いだ。こっちはカレーライスだな。向こうからは、魚の焼ける香ばしい匂い……
そんなことを考えているうちに、うつむいていた私の心は、なんだか幸せでいっぱいになってしまうのだ。腹が空いて仕方ないというのに遠回りな道を歩く。たくさんの幸せを鼻から肺までめいっぱいに吸い込むと、はらぺこな腹がグゥと鳴る。今日の夕飯はなんだろうと、胸を踊らせて歩いていく。
夕焼けに包まれた、しあわせな下校道、とっておきのワンシーンだ。