とっておきのワンシーン
作品紹介

─ “思いやりの原点”って何だと思われますか? ───

思いやりの原点は共感。
相手に関心を持ち
相手の話や状況に共感することができれば、
相手の話や状況が自分のことのように感じられ、考えられ・・・、
自分が言って欲しいことや、自分もして欲しいことを、
言ったり、して差し上げたりできるんですね。

これからご覧頂くワンシーンに、皆さんは共感されるでしょうか・・・。
この作品紹介コーナーでは、最新の公募作品を紹介させて頂きます。

─ 第53回とっておきのワンシーン入賞作品の紹介 ───


ひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんと

「ひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんと」

埼玉県 F・T(公務員 30代)

 実家を訪れると、一歳の娘はキャッキャと走っていって、彼女のひいおばあちゃんである私の祖母のひざにのります。祖父は、食欲旺盛な娘の口にヨーグルトを運んでやったり口を拭いてやったりと、かいがいしく世話をやきます。糖尿病で右脚を失い、すっかり口数が少なくなってしまった祖父ですが、ひ孫の世話をする時には相好を崩します。
 私は初孫で、また両親が共働きだったこともあり、この祖父母によく面倒を見てもらっていました。脚を失う前の祖父は、農業を営んでいてたくましい身体をしており、自転車一つで遠出するような活動的な人でした。それが一人では思うように出かけられなくなってしまったので、ひ孫を見せに行くのはせめてもの祖父母孝行になればという思いがあります。祖父母とは同じ市内に住んでいるので、新型コロナウィルス流行前は、特に用がなくても散歩がてら遊びに行っていたものでした。
 けれど今は、市内とは言え行くことは控えています。祖父母はとても高齢で、しかも祖父は糖尿病。もしも私や娘からうつしてしまったらと思うと、おそろしいです。
 毎日のように会っていた日々からがくんと会う頻度が減り、祖父母はさびしがっているようです。
 それでも時々は会っている私達は幸せな方だと思っています。遠方に住んでいたら、ひ孫をひざにのせる祖父母の笑顔は一年以上見られなかったことでしょう。
 今、孫や子に会いたくても会えないおじいちゃん、おばあちゃんが、世界中にたくさんいます。
 早く新型コロナウイルスの流行がおさまり、多くの人々が安心して、かけがえのない家族との時間をすごせるようにと願います。