とっておきのワンシーン
作品紹介

─ “思いやりの原点”って何だと思われますか? ───

思いやりの原点は共感。
相手に関心を持ち
相手の話や状況に共感することができれば、
相手の話や状況が自分のことのように感じられ、考えられ・・・、
自分が言って欲しいことや、自分もして欲しいことを、
言ったり、して差し上げたりできるんですね。

これからご覧頂くワンシーンに、皆さんは共感されるでしょうか・・・。
この作品紹介コーナーでは、最新の公募作品を紹介させて頂きます。
皆さんもブックマークを付け、時々お立ち寄り下さい。

─ 第53回とっておきのワンシーン入賞作品の紹介 ───


2人のケーキ

「2人のケーキ」

新潟県 S・S(学生 10代)

 私には四歳下に弟がいます。弟が生まれた直後は皆が弟にかまうので、私はいつも悲しそうにその光景を見ていたそうです。
家族の気をひくために祖母の漢字だらけの本を読んでみたり、家で育てていたトマトに朝早くから水をやっても弟が言葉を喋れば、たちまち褒める対象は弟になりました。
 事件が起きたのは弟が一歳の誕生日を迎えた日の事でした。大好きなアンパンマンのケーキの上には自分の名前ではなく弟の名前が書いてあり、それを見た私はそっと部屋を抜け出したそうです。母がおいかけると、洗面所で泣きながら髪を切っていて、あわてて母が止めると、やっと自分を見てくれた嬉しさからか、笑いながら「きっちゃった」と言ったそうです。リビングに戻るとそこにはもう一つ、『朱莉ちゃんよくできました』と書かれたプレートがのったケーキがありました。
家族は私の頑張っている姿をちゃんと見ていてくれていたのでした。