とっておきのワンシーン
作品紹介

─ “思いやりの原点”って何だと思われますか? ───

思いやりの原点は共感。
相手に関心を持ち
相手の話や状況に共感することができれば、
相手の話や状況が自分のことのように感じられ、考えられ・・・、
自分が言って欲しいことや、自分もして欲しいことを、
言ったり、して差し上げたりできるんですね。

これからご覧頂くワンシーンに、皆さんは共感されるでしょうか・・・。
この作品紹介コーナーでは、最新の公募作品を紹介させて頂きます。

─ 第53回とっておきのワンシーン入賞作品の紹介 ───


100円玉の行くえ?

「100円玉の行くえ?」

大阪府 H・K(無職 70代)

 ある昼下がり、家の花壇に水まきをしていた時でした。
小学一〜二年位の、三人の男の子が集まって、何やら話し合っていました。何気なく聞こえてきた会話に、プッと噴出しそうになりました。

 道に落ちていた100円玉の話でした。
Bくんが拾った100円玉をみた、Aくんが「あっ、その100円玉、オレンチのや。昨日買い物に行く途中で落とした100円玉や!」と言ったのです。

 えっ? 私もその言葉に耳を疑いました。

とっさに、Bくんが「そんなのおかしいよ!100円玉に名前でも書いてあるんか?」とAくんに言い返しました。
Cくんもつられて「そや、そや、証拠でもあるんか?」とAくんに言い寄りました。
するとAくんは、100円玉を何回もこすっては確認でもしているのか? 少し困った顔で半べそで頭をかいています。

 私は、笑いながら三人に話しかけました。
「この先ポリスボックスがあるから、みんなでその100円玉を届けてみたらどうかな? 正直に届けてくれたねと、警察官が誉めてくれると思うよ。そして、持ち主が現れなかったら三人に感謝状と100円玉を返してくれるかもしれないよ!」

 三人は、顔を見合わせながら大きくうなずいて、
「おじちゃん、ありがとう。今から100円玉を届けてくるよ!」と私に挨拶して、家の前の坂道を元気よく、駆け上がって行きました。三人には、やっと100円玉の行き先が分かったのかもしれません。
 どこか、ホッとした昼下がりのひと時でした。