とっておきのワンシーン
作品紹介

─ “思いやりの原点”って何だと思われますか? ───

思いやりの原点は共感。
相手に関心を持ち
相手の話や状況に共感することができれば、
相手の話や状況が自分のことのように感じられ、考えられ・・・、
自分が言って欲しいことや、自分もして欲しいことを、
言ったり、して差し上げたりできるんですね。

これからご覧頂くワンシーンに、皆さんは共感されるでしょうか・・・。
この作品紹介コーナーでは、最新の公募作品を紹介させて頂きます。

─ 第51回とっておきのワンシーン入賞作品の紹介 ───


隣に座って

「隣に座って」

熊本県 K・B(主婦 70代)

 童心にかえったように広い空の雲の形を眺めながら農道を抜けて眼科へ着きました。
このご時世コロナウイルス感染予防に世の中戦々恐々と申しましょうか、国民はマスク使用を強いられる状況となりました。
院内には老若男女子供もいます。白いマスク、絵柄のマスク、黒いマスクなど多彩です。
診察も終わり待合室へ。テレビの番組見ている人、雑誌を読んでいる人などを目にしながら空いた席へ座りました。隣にいる女性は、下方を向いたままの姿勢でした。
気配を感じられたのでしょう。顔を上げて私と目が合いました。
「マスクを忘れてしまって……」
と、また下を向かれたのです。話しかけました。
「そのようなことありますよ。皆さんがマスクつけているととても気になりますものね。私も急ぎ足で店内へ入り『マスク忘れた!』の経験あります。その後、いくつか予備を持つようにしてますからありますよどうぞ新しいこれを使ってください」
と差出ました。身を引きながら
「いいえ見知らぬ方からそんな」
と言われながらも手渡しました。
そして去って行く私に
「あのーどちらの方でしょうか。このこと嫁に話しますので……」
笑いながら一礼、その場を後にしました。
一時のご縁またそのことで自分が会話し笑顔になっていたのです。