とっておきのワンシーン
作品紹介

─ “思いやりの原点”って何だと思われますか? ───

思いやりの原点は共感。
相手に関心を持ち
相手の話や状況に共感することができれば、
相手の話や状況が自分のことのように感じられ、考えられ・・・、
自分が言って欲しいことや、自分もして欲しいことを、
言ったり、して差し上げたりできるんですね。

これからご覧頂くワンシーンに、皆さんは共感されるでしょうか・・・。
この作品紹介コーナーでは、最新の公募作品を紹介させて頂きます。

─ 第47回とっておきのワンシーン入賞作品の紹介 ───


挨拶する子供達

「挨拶する子供達」

熊本県 Y・M(無職 60代)

「こんにちは」
 ランドセルをしょった女の子に、挨拶された。笑顔と元気をもらいながら「こんにちは」と私も返した。
「おはようございます」
坊主頭の、新中学生くらいの男の子が、自転車越しに挨拶してくれた。
「あ、おは……」と言う間に、走り去ってしまった。まるで、四月の光の中に吸い込まれるように。
 断言する。私は、あの子供達の年の頃に、知らない大人に挨拶することなど、決して無かった。
 日傘をさして歩いていたら、何人もの男の子達が、大きな声でわいわい言いながら、自転車で通りかかった。
思わず道の端に避け、行き過ぎるのを待った。すると、その中のひとりが申し訳なさそうな顔で、ちょこんと頭を下げた。
「大丈夫よ」と、笑って見せた。
 横断歩道では、止まった車に「ありがとうございます」と、きちんと頭を下げている子達がいる。
私は「止まるのが当然でしょ」という顔で渡っているに違いない。あー、何という大人だろう。そして、なんと素敵な子供達なんだろう。日本の未来は明るいぞ、と嬉しくなった。
 今、幸せな気持ちで、私は令和を歩き始めている。今度は、私から挨拶しようと、きょろきょろ、どきどきしながら。